クリーム

1,「クリーム」とは?選び方は?

クリームとは、乳等省令という法律で「生乳・牛乳または特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」と決められており、『クリーム(乳成分を含む)』と表記されます。(これ以外の製品は『乳等を主要原料とする食品』と表示されます。)
※このコーナー内で使われている“クリーム”という言葉は、無添加の『クリーム(乳成分を含む)』と添加物や植物性脂肪の入った『乳等を主要原料とする食品』の両方をさしています。

●クリームをお店で見分けるには?

プロが使うクリームは、とても種類が豊富ですが、一般の方向けの商品でも値段も高いものから安いものまで、結構いろいろありますよね。
中身を確かめないでも見分ける方法は、パッケージの側面の表示を見るのが、一番わかりやすいですよ。
乳の脂肪だけから作られているものは「クリーム」と書いてありますが、このほかに植物性脂肪が混ざったもの、植物性脂肪だけのもの安定剤や乳化剤など添加物の入ったものがあり、これらはすべて「乳等を主要原料とする食品」とされて、「クリーム」とは区別されています。

「お問い合わせ」ページ内にも詳しく説明させて頂いております

●クリームにはなぜいろいろな種類があるの?

皆さんはクリームを何に使っていますか?
料理に使うのならそのまま入れるからあまり種類は必要ないでしょうね。
でもお菓子には泡立てて使うことが多いので、たとえば泡立てすぎてしまったらボソボソになって使えない、なんていう経験のある人も多いのではないかな。
このボソボソになるのを防いだり、ケーキの上に絞ってからも、きれいな状態が長持ちするように作られたのが、植物性脂肪や添加物を使ったクリームです。
もちろん値段を安くする目的もありますけどね。あ、これはカットかな(笑)

●クリームの種類によって味に違いがあるの?

味について言えば、牛乳が好きな人もいれば、私は豆乳の方が好き、という人もいるように、「美味しい」と感じるのはそれぞれの人の好みですよね。
ただ、乳脂肪だけの「クリーム」は、純粋に自然のものだけから作っているので、ストレートに乳の味や香りが分かります。
まずは乳の本来の味を味わい、それを覚えておいてから、他の種類のクリームを試してみるといいですよ。
昔は乳脂肪だけの「クリーム」しかなかったのですから、お菓子も基本の味は、乳脂肪だけのクリームで作ったものなのです。

●クリームの選び方を教えて!

料理には乳脂肪だけの「クリーム」がお薦めです。
泡立てる必要がないので、植物性脂肪や添加物は余計なものだし、料理のコクや香りをアップさせるなら、ストレートに乳の風味を加えることの出来る乳脂肪だけの「クリーム」を使った方が効果的です。

お菓子の場合は、家庭で作ってすぐ食べるなら迷わず乳脂肪だけの「クリーム」をお薦めします。本当の乳の味をお家では食べてもらいたいですから。

でも、「きれいなデコレーションをしたい!」とか、「絶対失敗したくない!」という場合もありますよね。
そういうときはバサバサになりにくくて、きれいな状態が長持ちする、植物性脂肪や添加物を使ったクリームを使った方がいいですね。
特にお菓子作り初心者の方は、使いやすいクリームで練習して、自信を付けてから、乳脂肪だけの「クリーム」に挑戦してみてください。
お菓子作りって楽しいなって思って、続けてもらえるのが1番ですから。

●クリームの乳脂肪分のパーセントはどういう意味があるの?

数字はクリームに入っている乳脂肪分の割合です。
この数字が高いものを選ぶか、低いものにするかは、作るものや好みで違ってきます。
お菓子に使うクリームならホイップできて、塗れて、絞ることが出来るものでなければいけません。この場合は、乳脂肪分は35%以上50%以下のクリームを選びます。
あとは濃厚なお菓子を作りたいなら40%以上の脂肪分の多いもの、口当たりをふわっとさせたり、さっぱりしたお菓子なら40%未満の脂肪分の低いものを選ぶとよいですよ。

乳脂肪分45%

フレッシュクリーム45%

乳脂肪分36%

フレッシュクリーム36%

●クリームの使い分けのコツを教えて!

味の面から考えたとき、たとえば苺のショートケーキはクリスマスや誕生日に一番人気ですよね。これはケーキ全体にクリームが塗ってあって、サンドもされて、しかも上にも絞ってあるから、食べたとき最初にクリームの味を感じます。このようなクリームが主役のケーキには乳脂肪分40%以上の「クリーム」を使います。
乳脂肪分が低いと、物足りない味になってしまうからね。

40%未満の乳脂肪分の低い「クリーム」は、味の濃いフルーツと合わせるお菓子に使います。バナナのような味の濃い、甘いフルーツには、乳脂肪分の低い「クリーム」を使った方が、お菓子全体の美味しさを引き出します。

クリームの性質から考えたときには、40%以下の脂肪分の低いクリームは、泡立てたときに、高脂肪のクリームより多くの空気を含むことが出来るので、ムースみたいなふんわりさせたいお菓子に使うといいですよ。

もうちょっと専門的な話をしますと、苺のショートケーキを作る場合、そのまま食べて美味しい苺を使うより、酸っぱい苺を使った方が、ケーキ全体の美味しさが増すのです。これは、苺とケーキ全体の甘さとのバランスや、苺とクリームの味の相性が影響しているからです。
つまり、最高に美味しいフルーツ+最高に美味しいクリームは、イコール最高に美味しいケーキにならないことがあるのです。
1つ1つのパーツが別々に食べて美味しいのではお菓子にはならない。
「この苺美味しいね」じゃなくて、やっぱり「この苺のショートケーキ、とっても美味しいね!」って褒めてもらいたいでしょ。
これはアマもプロも一緒のこと。だからクリームの使い分けは、クリームだけで考えるのではなくて、どんな材料を組み合わせるのかで変わってくるものだと思って、いろいろ試してみてください。

2,「クリームのホイップ」について

●砂糖の選び方はどうしたらいいの?

砂糖を選ぶ時の基本の考え方は、「クリームに与えるダメージが少ない物を選ぶ」。
グラニュー糖、上白糖、粉砂糖、フロストシュガーは溶けやすいから、最初から入れて泡立ててもいい。
あと家庭で使うとしたら、黒砂糖、三温糖がありますが、これらは溶けにくいので、クリームに入れて氷水にあてた状態で10~15分置いてから泡立てます。
もっと溶けづらいザラメ糖みたいな固形タイプは、液状のクリームに入れて、氷水にあてた状態で30分くらい置いてから泡立てます。
この他、水飴やチョコレートシロップ、ピーナッツバターみたいな濃度のあるものは、クリームが分離しやすくなるので5~6分立てくらい、さらに重たいジャムは7分立てくらいに泡立ててから加えてください。
酸味の強いジャムは分離しやすいのでやめた方がいいですよ。

●クリームを上手に泡立てるコツを教えて!

泡立ての基本は温度をしっかりコントロールすることです。
クリームは温度に敏感です。温度の高いクリームを泡立てると、空気の泡を抱きこまないうちに固まって、ボソボソになってしまいます。
きれいで美味しいホイップクリームを作るには、冷蔵庫に入れてよく冷やしたクリームを、冷たい清潔な器具を使って、氷水を当てて泡立てることです。ここでのポイントは、クリームは部屋の空気が入って泡立つということです。つまりクリームが冷たくても、部屋の温度が高ければ、泡立ったクリームの温度は高くなります。
特に夏は室温が上がりやすいから気をつけてください。
泡立ててから、ボールにラップをかけて氷を当てたまま冷蔵庫に入れて温度を下げるのも効果的です。

道具について言うと、ステンレスのボールはよく冷えて使いやすいのですが、ホイッパーもステンレスだと黒いツブツブが浮いてくる場合があるので、ガラスのボールがお薦めです。特にハンドミキサーでボールの底をガリガリやるのはだめですよ。

さて、クリームを上手に泡立てるコツですが、泡立て終わりの状態の時に自分が使いたい固さより少し手前でやめておきます。
そして塗ったり、絞ったりする直前に、また泡立ててベストな状態にもっていきます。
なお、ハンドミキサーを使う場合は、なるべく針が細くて本数の多い羽根のものを選んで、全体を均等に泡立てるようにします。