カスタードクリーム

ここでは、さまざまなお菓子に欠かせない基本のクリームである「カスタードクリーム」について、基本の作り方からそのコツ、カスタードクリームをつかったお菓子レシピまでをご紹介いたします。

〈カスタードクリームの作り方〉

●カスタードクリームの基本配合

(材料)

500g
牛乳
5個
卵黄
125g
砂糖
40g
粉(薄力粉またはコーンスターチ)
1/2本
バニラ(またはバニラエッセンス 適宜)

(作り方)

①. ボールに卵黄と半量の砂糖をホイッパーで入れてすり混ぜる。粉も加えて粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。
★ポイント
粉の中に糖分がしみこんだ方がなめらかに溶けるので、白っぽくなるまでしっかり混ぜましょう。粉と砂糖をはじめに合わせておいたものをすり混ぜた卵黄に加えても可。
②. バニラを縦半分に切り、中のビーンズを取り出す。鍋に牛乳と残りの砂糖、バニラビーンズ、バニラのさやを入れて火にかける。沸騰したら火を止め、蓋をして蒸らす。
★ポイント
牛乳だけで沸騰させると、牛乳のタンパク質が固まって鍋底についてしまうので、砂糖を加えて火にかけましょう。バニラの香りはさやとビーンズの表面に付着しています。少し蒸らしてバニラの香りを牛乳全体にしみこませましょう。
③. ②を1/5量ほど①に入れて混ぜ、なめらかにする。さらに②を半量加えて混ぜ、残りを加えて混ぜる。
★ポイント
牛乳がグツグツと沸騰している状態で一気に卵に加えてしまうと卵が煮えてしまうので、少量ずつ加えていきましょう。
④. ③を鍋に戻し入れ、再び強めの中火にかけてホイッパーでかき混ぜながら炊いていく。
★ポイント!
鍋の底が固まりやすいので、常にホイッパーの先を鍋底につけて撹拌しましょう。
⑤. 鍋底が固まり始めたら、一旦火から下ろして均一に混ぜる。再び火にかけてホイッパーでかき混ぜ、つやが出てトロッとした状態になったら火から下ろす。
★ポイント
鍋底は焦げやすいので、気をつけながら炊いていきましょう。全体にとろみが出てプツプツしてきたら、さらにかき混ぜていきましょう(牛乳1Lの場合はプツプツしてきてから約1分)。
⑥. ラップを敷いたバットに漉し器を置き、カスタードを入れて裏ごす。
★ポイント
白身の固まりが残っているため裏ごしましょう。裏ごすことでよりなめらかになります。熱いうちに裏ごしましょう。
⑦. 早く冷えるように薄く広げてラップで包み冷蔵庫で冷やします。
★ポイント
でんぷんは常温の時が一番老化のスピードが早く傷みやすいので、雑菌の増殖を防ぐためにも急速に冷やします。また、表面が乾いてしまうと後で混ぜた時にダマが残ってしまうので、表面が乾かないようにラップで覆いましょう。
⑧. ⑦がしっかり冷えたらボールに移し、ゴムベラで混ぜてなめらかにする。
★ポイント
カスタードをボールの側面にゴムベラで押しつけるようにして、ツブツブがなくなって、やわらかい1つの固まりになるまでしっかり混ぜましょう。

●目的に応じて出来上がりの状態を調整しましょう!

スポンジにサンドしたり、絞って使うなどプリッとした食感、保形性を求める場合は、カスタードのコシが残るように、ゴムベラで混ぜていきましょう。(写真A)
シュークリームなど、割った時にトロッとでてくるような、やわらかい状態にしたい場合は、コシをきるようにホイッパーで混ぜます。ホイッパーの羽根からトロリと垂れるまでしっかりと混ぜていきましょう。(写真B)


(A)

(B)

●粉の違いによる出来上がりの状態の違い

「薄力粉」を使用した場合、出来上がりはもったりとした状態で見た目は白っぽく、透明感があまりありません。 「コーンスターチ」を使用した場合は、薄力粉よりでんぷんが多く含まれているため、固まり始めるのが早く、炊く時間も短くなります。出来上がりの状態はプリッとしていて、見た目は透明感があります。薄力粉に比べて、冷めてくるとプリッとした状態がより強くなります。コシがあるのでサンドや絞りに使うのに適しています。 同じスターチでも「フラワースターチ(浮き粉)」を使用した場合は、ほぼコーンスターチと同じ状態ですが、冷めた時にコーンスターチほど固くなりにくいです。 また、コーンスターチの他に香料や黄色の色素が入ったカスタード用の粉である「プードル・ア・クレーム」はプロの方々によく使われています。これはでんぷんの量が少ないので、なめらかな食感に仕上がります。

〈カスタードクリームを使ったお菓子のご紹介〉

●ボストンクリームパイ

かつてのアメリカの大統領・ワシントンが好んで食べたと言われている、カスタードクリームをたっぷり使ったお菓子です。

材料

直径18cm市販タルト型1台分

・スポンジ生地

60g
卵黄
45g
グラニュー糖
90g
卵白
45g
グラニュー糖
50g
小麦粉
40g
コーンスターチ
500g
カスタードクリーム
1台
市販のタルト型
適宜
仕上げ用粉糖

(作り方)

①. スポンジ生地を作る。ボールに卵黄とグラニュー糖を入れて泡立て器ですり混ぜる。ボールの底を湯煎で温めてグラニュー糖のジャリジャリ感がなくなったらはずし、白っぽくなるまですり混ぜる。
②. ボールに卵白を入れて泡立てる。グラニュー糖は3~4回に分けて少しずつ加える。ピンと角が立つまでしっかり泡立てる。
③. ①に②を半分入れてしっかり混ぜる。さらにふるった粉も加え、粘り気が出てなめらかになるまで混ぜる。
④. ③に残りの②を加えて軽く混ぜ合わせる。市販のタルト型に流して180℃で約40分焼成し、あら熱をとる。
⑤. カスタードクリームはゴムベラでなめらかになるようにほぐし、八分立てに泡立てたフレッシュクリームを加えて混ぜ合わせる。
⑥. ④をV字に切り込みを入れて上部をくり抜く。
⑦. ⑤のクリームをたっぷり詰めてふたたびフタをする。仕上げに粉糖をふる。
◎カットする時のポイント
ケーキをカットする時、側面のタルトが割れてしまわないようにアルミ型に入れたままでカットしましょう